6月23日(土)対新国立劇場戦

日も沈みかけた土曜日の夕方。
平和島に住む人々は、競輪選手さながらに自転車で町内を必死に走り回る、一人のオヤジの姿を幾度も目撃したことであろう。
平和島公園野球場で行われた、青空ドリームスにとって久々となるナイターは、試合前からそんな波乱含みの様相を呈して始まった。

梅雨の合間を縫って迎えた一戦は、これまた久々となる新国立劇場との対戦。
実力も伯仲し、これまでにも数々の接戦を繰り広げてきた相手だけに、まさにシーズン初勝利をかけて戦うに相応しい試合となるはずだったのだが、予想だにしない展開が待ち構えることになろうとは…

遡ること試合開始の2時間前、平和島のとある立ち飲み屋では、アルコールを使ってストレッチに励む、なんちって監督の小河原と、品川の自宅から自転車で駆けつけた大島の姿があった。
オヤジ同士で、青空ドリームスの…いやオヤジ達の未来を、そして宝塚記念の未来を語り合いながら、入念なストレッチを行うこと小一時間、そろそろ体もほぐれた頃、二人は意気揚々と球場へと向かった。
すると、グランドの前には、ナイターが待ちきれないとばかりに既に勢揃いしたドリーマー達の面々が、二人を出迎える。
とそこで、グランドの照明塔に灯が入っていないことに気づいたなんちって監督は、明かりを灯すべく、急いで利用手続きのため事務所へと一目散に向かうのだった。

ちなみに、今回ナイターを行う平和島公園野球場は、ライバルチーム?でもある青横ヒッターズの厚意により譲り受けたグランドで、折りしも、チームの母体でもあるタワーレコード本社の新社屋が目と鼻の先という偶然も重なって実現した、ドリームスにとってはお初となるグランドだ。

早速、なんちって監督が、野球場の隣にある事務所思しき建物の受付に赴き、手続きの方法を尋ねてみると、受付の女性が野球場の裏側にある施設に行くよう指差した。
言われるがままに、指示された場所を目指して、慌ててドリームスナインの前を横切りながら、球場の向こう側へと小走りで向かうなんちって監督。
ランニングがてら、案内された施設に到着し、係員を見つけて早速手続きをしようとすると、今度は、ここは宿泊施設で、野球場の利用手続きはグランド脇の詰め所に行くように、と言ってきた。

ん?
一体、どうなってるんだ?
試合開始まで、残された時間はあと20分。
あれこれ考えている暇は無い。

仕方無く、来た道をダッシュで戻り、再びドリームスナインの前を全速力で横切りながら球場脇に向かうと、やがて、それらしき詰め所を発見。
息を切らしながら入り口のドアを開け、やっとの思いで手続きをしようとするなんちって監督に対して、詰め所のオッチャンから、悲しいお知らせが告げられた。

「悪いねぇ~、先に公園事務所で支払いを済ましてからじゃないと、グランド開けられないんだよねぇ」

ショックのせいなのか、アルコールのせいなのか、ワナワナと指先が震える、なんちって監督。
続けて、オッチャンが大きなプラスティックのボードのようなものを取り出して見せようとする。

まさか、これって地図?!
ってことは、ここから遠いのか?
ナニ!別の敷地だと?!

   

涙のせいなのか、汗のせいなのか、地図が霞んで見える。
試合開始まで、あと10分。

ここから公園事務所まで、走って行けたとしても試合時間に間に合うかどうか?
とはいえ、手続きに行かなければ、グランドが開くことはない。
急がないと、時間が無い!
と思ったその瞬間、なんちって監督が閃いた。

「おいっ!そこのお前!いいから自転車を貸すんだぁ!」

品川から平和島まで駆けつけた、買ったばかりの自転車を大島から奪うと、遥か先にある公園事務所へと走り出す、なんちってジャック・バウアー。

  

  

グランドを飛び出すと、必死に自転車をこぎ続けること数分。
自転車を奪って、勢いよく飛び出したまでは良かったものの、どうも道に迷ってしまったらしい。
しかも、滴る汗と同時に目眩も襲ってきた。
畜生!テロリストの仕業か?
どうやら、さっきのストレッチで、ホッピーに睡眠薬が仕込まれていたのかもしれない。

しかし、残された時間はもうない。
なんとしても、開始時間までに支払いを済ませなければ。
と、ここで公園事務所に連絡をし、妙齢と思しきクロエから直接場所聞き出そうと試みるジャック・バウアー監督。
そうして携帯電話を片手に自転車で付近をさ迷うこと更に数分、遂に敵のアジトもとい公園事務所を発見した。
急いで事務所に突入すると、預かりものの大事な登録者カードを熟クロエに提示し、慌てて支払いを終えたその時、丁度時刻は開始時間を迎えようとしていた。

「なんとか、間に合った…」

しかし、ジャックに一息ついている暇などない!
これからテロリスト達との戦いが待っているのだ。
急いでCTUもといグランドに戻らなければ!

再び、自転車を飛ばしてバウアー監督がグランドへ戻ると、煌々と照らされたダイヤモンドに、戦いを今かと待つドリームスナインの姿があった。
既に闘志がみなぎっている様子の8名の戦士達に、既に意識が朦朧としている1名のオッサンを加えたドリーマー達に試合開始の時が迫る。
そしてそれは、一人として欠く事の出来ないギリギリの人数で、戦かわなければならないことも意味しているのだ。

はて?一人として…?
ふとベンチを見渡すと、そういえば、このドタバタ劇ですっかり忘れていたのだが、来るはずのカーリーマネージャーの姿が見当たらない。
まさか、試合前の波乱はカーリーの呪いが招いたとでも言うのか?
などと考える間もなく、試合開始を迎えようとした時、慌ててカーリーマネージャーがベンチに駆け込んできた。
すると今度は、カーリーに突っ込む間もなく、審判からの合図でもってドリームスナインが戦闘配置に着く。
幾多の波乱を乗り越えて、試合の準備がなんとか整うと、審判からプレイボールが告げられ、いよいよ試合が始まった。

しかし、それは、更なる波乱の幕開けの合図でしかなかったことを、両チームの選手達は後に思い知ることになる。

  

 = 戦闘配置 =

  1 RF / Koga
  2 1B / Takehiro
  3 C  / Shimotashiro
  4 SS / Ihashi
  5 CF / Oshima
  6 3B / Ogahara
  7 2B / Nozaki
  8 P  / Umegawa
  9 LF / Shinozak

  

この試合から野崎が新人ドリーマーとしてデビューを果たし、助っ人には篠崎選手が駆けつけ、辛うじて9名で戦うことになったドリームス。
今回、ベンチプレイヤーを欠いたことで、フル出場が課せられたオヤジ達にとっては、少々厳しい戦いになるかと思われたのだが、いざ試合が始まってみると、より厳しい戦いを強いられたのは、ドリームスではなく新国立劇場の方であった。

初回の守りを無失点に抑えた、その裏ドリームスの攻撃。
先頭の古賀が内安打で出塁すると、ここから相手先発投手のU氏が、想像を絶する大乱調に陥ってしまう。
2番に入ったタケヒロから4者連続で四死球による出塁を果たすと、6番小河原が適時打を放ち、続く野崎が凡退に倒れたものの、8番梅川からは、エラーを挟んで7者連続四球になるなど、なんとこの回だけで11死四球を連発し、ヒットとエラーも重なって初回から13点もの大量得点がドリームスに転がり込んで来たのだ。
更に、3回裏の攻撃でも、後続のピッチャーを打ち崩して、伊橋の満塁ホームランなどで一挙に6点を奪ってみせ、かつてない大量リードを築いてみせるドリームス打線。
一方、先発マウンドを託された梅川は、3回を投げて死球のランナーを一人許しただけの完璧なピッチングを披露し、試合序盤で、早くもドリームスの勝利が決定的となる試合展開となった。

  


3回に満塁ホームランを放った伊橋選手

  

続く4回表、梅川の後を引き継いだタケヒロが、自らのエラーから2ランを喫して、ノーヒットリレーが絶たれたものの、もはやご愛嬌。
その裏の攻撃でも、助っ人篠崎に満塁ホームランが飛び出すなど、止めどなく四球を連発する新国投手陣に対して、ヒットで打ち返すドリームス打撃陣。
結局、ノーアウトのままドリームスが8点を奪ったところで、遂に審判から水入りが告げられてゲームセットを迎え、草野球でも滅多に見られない、27対2の25点差というドリームスの超ワンサイドゲームでもって雌雄を決することとなった。 
  

 SHINKOKU | 0  0  0   2  |    2
 D R E A M S |13 0  6  8x | 27
 ※試合結果の詳細はこちら  

  
ドリームスが受けた四死球は、実に4イニングで22個。これに11安打を加えて合計27得点をも奪うと、守りでは、梅川、タケヒロの投手リレーで相手打線を僅か1安打1死球の2失点に抑え、試合前には予想だにしなかった圧倒的なゲーム内容で、今シーズンの初勝利を飾ってみせた。
ただし、いつもは得点を挙げる度に口が滑らかになっていくドリームスベンチも、この試合に限っては、常に選手が塁上に出払っていたためか、追加点の度にかける言葉もいよいよ尽きてしまい、大味な試合展開と相まって、久々の勝利は少々薄味なものとなってしまった。
それでも選手達は、難しい試合展開にも関わらず集中力を切らす事無く戦い、一方の新国立劇場も、厳しいスケジュールの中、試合を成立させるべく懸命なプレーを披露するなど、試合終了まで両チームの健闘する姿が見られた。

  


試合前のストレッチが効き過ぎたのか、ノーヒットに終わった大島選手

   


カメラに向かってポーズを決めるエスパー改め尾木ママ

  

試合を振り返ってみると、大味なゲーム展開につい忘れがちになりそうだが、実に満塁ホームランが2本も飛び出すなど、これまで不調で苦しんできた打線が嘘のように11安打を放って勢いを取り戻せば、一方の投手陣も、梅川が完璧な投球を披露し、久々のマウンドとなったタケヒロも安定感を見せるなど、今後の登板に期待を持たせる結果を残してくれた。
その他、野崎が愛娘に捧げるべく1安打2打点の活躍でもって、娘の誕生日と引き換えに新人ドリーマーとして記念すべきデビュー戦を飾ってみせれば、助っ人でいきなり満塁本塁打を放ってみせた篠崎は、早くもドリームスへの入団の意思をスッキリ!!見せるなど、新戦力の活躍も光った一戦となった。

それにしても、恐るべしはカーリーの呪いだ。
久々にベンチに現れたかと思えば、積年の呪いが一気に解けたかのような、極限のゲーム内容で勝利をもたらし、試合前のドタバタ劇しかり、彼女が関わると、必ずと言ってやドリームスに不測の事態が起きる法則は、この試合でも健在であった。
まさに、チームの命運の鍵を握る新マネージャーとしての存在感が、日増しに強まってきているのは間違いなく、それこそドリームスの未来は、彼女の未来に懸かっていると言っても過言ではないくらいだ。
チームとしても、今後は彼女の婚活の成り行きを注視しながら、場合によっては、彼女の未来に繋がる新戦力の補強も、考える必要があるかもしれない。
まぁ、それ以前に角田の婚活の成果も気になるところだが…

  


カーリーが訪れる先には、必ず何かが起きる?! 是非とも恋の予感も起きて欲しいところだが…

  

久々となる勝利の美酒に酔いしれるべく、試合を終えたドリーマー達がアルコールトレーニングに向かう中、照明が落ちたグランドで、何やら慌ただしい動きが…

一人青ざめた表情で、何度もバッグやポケットの中身を調べるなんちって監督。
どうやら、グランドの手続きの際に、あまりに慌て過ぎて、先方の厚意で預かっていた大事な登録者カードを、どこかに無くしてしまったらしい。
自転車で平和島町内を駆けずり回っている時にでも落としてしまったのだろうか。
まさに、試合前から試合が終わっても尚、この日のドリームスのドタバタ劇は留まることを知らない。
まさか、これもテロリスト…もとい、カーリーの呪いの仕業だというのだろうか?

しかし、チームメイトは思っていた。
試合前から「きみちゃん」で、ホッピーを飲み過ぎただけだと…

後に登録者カードは、公園事務所に置き忘れていたことが判明し、事なきを得るのだが、テンションだだ滑りのオッサン1名を含むドリームスナインは、波乱の1日を忘れるように、夜の平和島でアルコールトレーニングに没頭したことは言うまでもない。

  


現在、横浜に潜伏中のヒットマン。なぜか人妻のハートだけは射止めるも、自らの恋の狙い撃ちは未だ当たらず?

  

気がつけば終電の時間も迫り、充実のアルコールトレーニングを終えて、帰宅の途に就こうとしたその時、最後の最後に波乱含みの一幕が待ち構えていたのだった。
仕事帰りの新妻も加わって、仲睦まじくアルコールトレーニングに精を出していた大島夫婦。
二人して仲良く帰ろうと思った矢先、大島はある事を思い出した。

「あ!? 俺、平和島まで自転車で来てたんだ…」

平和島駅に新妻を残して、一人自転車にまたがる大島。
そして、一人寂しく電車の乗って帰る新妻。
その後、二人の間に波乱が起きたのかどうかは、誰も知らない。

さて、次戦はどんな波乱がドリームスを待ち構えているのか。
久々に生けるレジェンド毎熊の参戦が見込まれており、何かが起きる事は必至。
色んな神様が降臨する瞬間を見逃すな!

  

  

~ Next Schedule ~ 

DATE : 2012/07/14(sat)
TIME : 11:00~13:00
PLACE : Futagotamagawa Field at Setagayaku

  

  

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